相続発生後にやるべきこと
手続きをなるべくスムーズにトラブルなく進めていくためには、相続手続きの概要を押さえておく必要があります。
ここでは、多くの皆様に共通する相続発生後にやるべきことを整理していきたいと思います。
遺言があるかどうかをチェック
遺言があるかどうかは、相続のお手続きを進めていくうえでとても重要なことです。
遺言がある場合はその遺言の内容に従ってお手続きを進めていくことになるからです。
しかし、生前に親族の方に遺言がどこにあるかお伝えしていればよいのですが、そうではない場合もあります。
遺産を分配した後に遺言が出てきた場合、その内容によっては相続人間でのトラブルになりかねません。
そのため、遺品整理とともに遺言があるかどうかも確認しましょう。
また、遺言を探す場所として、公正証書遺言を作成している場合は、平成元年以降の遺言を公証役場で検索することも可能です。
自筆証書遺言であれば、令和2年以降法務局に保管している可能性もあります。
弁護士、司法書士、行政書士といった専門家に保管を依頼している場合もあります。
遺言に関する通知書や請求書、領収書などがある場合は注意する必要があります。
法定相続人は誰かをチェック
相続財産を受け継ぐのは、法定相続人になります。
相続財産の分け方を決める(遺産分割協議)には、法定相続人が全員参加する必要があります。
そのため、遺産分割協議ためには法定相続人を確定することが必要です。
一人でも参加していない遺産分割協議は効力が生じませんし、金融機関や法務局などの名義変更手続きも応じてくれません。
誰が法定相続人かの判断は、戸籍謄本の記載から判断していきます。
そのためには、故人の出生から死亡までの戸籍を確認する必要があります。
これにより、法定相続人関係を明らかにしていきます。
相続財産(遺産)に何があるかをチェック
「相続」は、故人の財産上の権利義務を引き継ぐものです。
そのため、遺産を考える場合にはプラスの財産(不動産や⾦融資産)だけをではなく、マイナスの財産(借⾦)のことも考える必要があります。
預金通帳やキャッシュカード、不動産の権利証などがあれば分かりやすいのですが、問題はそのようなものがない場合です。
預金口座であれば、金融機関から郵便物やダイレクトメールが来ていないか、インターネットバンキングなどパソコンにデータが残っていないかなどもできる限り確認しましょう。
また、生前にあると聞いていた金融機関の資料がなかった場合は紛失の可能性もあります。
既に解約しているという可能性もありますが、金融機関で口座の有無を調査するとよいでしょう。
不動産であれば、固定資産税の納税通知書や市区町村役場で調べることもできます。
そして、このようなプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も調査が必要な場合があります。
「生前から借金の話を聞いていた」「消費者金融のカードが出てきた」「督促状があった」このような場合は調査しておいた方がよいでしょう。
生前に借金があったようだが資料が見当たらないような場合は、信用情報機関に問い合わせることもできます。
※信用情報機関とは、借り入れ情報などを取りまとめている機関のことです。
全国銀行個人信用情報センター、CIC、JICCという機関があります。
債務がある場合、相続の放棄を検討する場合は急いでこの調査をする必要があります。
相続の放棄は3か月の期間制限があるためです。
この期間を経過してしまうと、債務を含めた相続財産を全て受け継ぐことになってしまいます。
後から遺産や債務がみつかるということもありますが、別の時期に改めてお手続きをするということはとても骨が折れることです。
この時期にしっかりと確認しておくことが重要です。
相続財産(遺産)をどう分けるか決める
相続財産(遺産)をどう分けるか決めることを、遺産分割協議といいます。
法定相続人が全員参加のうえ話し合いを行います。
しかし、実際には全員が一か所に集まって話し合う必要はなく、全員の合意があれば問題ありません。
そして、話し合いの結果を書面にまとめたものが遺産分割協議書となります。
相続財産の名義変更等を行なう場合に、金融機関や法務局等に提出していきます。
また、相続税の申告がある場合には税務署にも提出します。
そのため、記載内容に不備がないように慎重に作成しましょう。