遺言でできること
そのため、生前対策の一つとして多く利用されています。
しかし、遺言にはそのほかにも記載することで法律的な効力を発生させられるものもあります。
また、法律的な効力が発生する部分には当然重点を置きますが、ご遺族に感謝の気持ちや、こうしてほしいといった希望などを「付言事項」として入れることも可能です。
ここでは、遺言に定めることで法律的に効力が発生するものの中でお問合せが多いものを中心に解説してきます。
目次
財産の処分に関すること
遺贈
遺言によって、自己の財産を他人に与えることです。
特定遺贈と包括遺贈の2種類があります。
特定遺贈とは、不動産や車など財産を特定して与えるものです。
包括遺贈とは、遺産の全部または一定の割合(遺産の2分の1など)を示して与えるものです。
もらう側の人は、相続人でもそれ以外の第三者でも大丈夫です。ただし、遺言者死亡時に生存していなければなりません。
また、寄付を行いたい場合もこの遺贈を使います。
相続に関すること
相続分の指定
遺言者は、共同相続人の相続分を定めることができます。
例えば、相続人が兄弟3人だった場合、法定相続分は3人均等で各々3分の1ですが、「Aさんは2分の1、Bさん、Cさんは各4分の1」という具合に定めることができます。
遺留分に注意も必要ですが、相続人の方が納得できるような理由がなければ争いのもとになりますので、細心の注意が必要です。
遺産分割方法の指定
遺言者は、遺産の分割の方法を定めることができます。
例えば、「自宅不動産は妻に、A銀行の預貯金は長男に、B証券会社の株式は長女に」というものがこれに当たります。
遺産分割の禁止
相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁止することができます。
身分上のこと
認知
生前にもおこなえますが、遺言によってもすることができます。
未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定
ご自身亡き後、未成年の子供に親権者がいなくなってしまうような場合は、遺言で、未成年後見人や未成年後見監督人を指定することができます。
遺言の実現に関すること
遺言執行者の指定
遺言執行者とは、遺言に書かれた内容を実現するために手続き等をする人のことです。
様々な義務があるため、遺言作成を依頼した弁護士、司法書士といった専門家を指定することもよくあります。
その他
祭祀主宰者の指定
祭祀主宰者とは、系譜(家系図)、祭具(仏壇、位牌)、墳墓(墓石、墓地)といった祭祀財産を承継する人のことです。
祭祀財産は、その他の相続財産のように遺産分割をして相続人が分けるということには、馴染みにくいもののため、特別な取り扱いがされています。
そのため、祭祀主宰者は、第1に故人の指定(遺言だけではなく、生前に指定しておくこともできます)、第2に慣習、第3に家庭裁判の審判により定められることになります。
※葬儀等の方法についての指定は遺言事項ではありませんので、このような葬儀をしてほしいと記載しても法的な効力は生じません。
しかし、付言事項としてご希望を記載することも可能です。
ただ、死後直ちに相続人が遺言内容を知るとは限りませんので、葬儀、埋葬等に関する事項は遺言書とは別に、相続人がすぐに分かるようにしておくことも考える必要があります。
生命保険金受取人の変更
平成22年4月1日以降に締結された保険契約については、保険法により遺言による生命保険受取人の変更が認められています。
付言事項について
「今まで世話をしてくれてありがとう」と感謝を伝えたり、「兄弟仲良く暮らしてほしい」といった希望を伝えたり、なぜこのような遺言を遺したのかということを遺言のなかに付言事項として記載することも可能です。
遺言に書かなければならない内容ではありません。
しかし、遺言とは別の形でもこのようなお気持ちなどをお伝えできるようにしておくことは、後に相続人同士の争いの予防にもなります。
遺言を作成される際は、ご検討してみてはいかがでしょうか。
当事務所では、遺言の作成支援はもちろん、生前対策を含めたご相談を承っております。
先々の不安やお悩み、このようにしたいなどのご希望に沿ったご提案をさせていただいております。
遺言手続きにつきましては、初回無料相談を行なっております。
また、ご相談は土日相談もご利用いただけます。
遺言に興味があるけどなにから始めたらいいのだろうかという方も、まずはお気軽にお問合せください。