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相続人の中に認知症の方がいるケース

高齢化が進むにつれて、この認知症という問題に直面されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、相続のお手続きの場面での事例についてご案内させていただきます。

事例紹介

Aさんは、お父様が亡くなってしまったため、相続の手続きをしたいがどのように進めたらよいかとご相談にいらっしゃいました。

お話しを伺うと、ご相続人はAさんの他にお母様とAさんのご兄弟様がいらっしゃるということでした。

しかし、そのお母様は以前より老人施設に入所しており、今では重度の認知症になってしまっているとのことでした。

お話しをしてもかみ合わないことが多くコミュニケーションを取ることは難しい状況でした。

Aさんとご兄弟様の間では、遺産の分け方のご希望がありましたが、ご希望通りの遺産分割を行うためにはお母様も含めた相続人の皆様で遺産分割の協議を行う必要があります。

Aさんのケースでは、お母様がコミュニケーションを取ることが難しい状況でしたので、遺産分割の協議を行うことができません

そこで、解決する手段として成年後見制度についてご案内させていただきました。

この成年後見制度とは、判断能力が不十分な人に代わって法律行為などを行ってくれる人(成年後見人等)を選任し、本人の権利保護を行う制度のことです。

成年後見人を選任することで、コミュニケーションの取れないお母様に代わり、成年後見人が遺産分割協議を行えるようになります

ただし、成年後見人を選任することで、相続のお手続きを先に進められるというメリットもありますが、この制度にはデメリットになってしまう部分もあります。

Aさんには、このメリット、デメリットをご説明のうえ、成年後見制度を活用するかどうかご検討いただきました。

結論といたしましては、成年後見人を選任のうえ、お手続きを進めることになりました。

そこで、当事務所では、成年後見人の選任の申立からお手伝いをさせていただきました。

(事例の内容は一部修正を加えております)

補足説明

遺産の分け方の話し合い(遺産分割協議)には、相続人全員で行わなければなりません。

そのため、一人でも意思表示ができない人がいる場合、相続の手続きを進めることができなくなってしまいます。

今回のケースでは、意思表示ができない本人に代わり判断をしてくれる成年後見人を活用することで相続のお手続きを先に進めることができました

成年後見人の選任手続き

成年後見人は自分がなりますと宣言すればなれるようなものではなく、家庭裁判所に選任してもらう必要があります。

そのため、様々な資料を準備のうえ、申立てをしなければなりませんので、選任まで2,3か月かかるということもあります。

相続税の申告期限に間に合わせたいなどのご事情がある場合は特に、スケジュールの管理に注意が必要です。

ご家族様のご状況によっては、相続のお手続きはより複雑になってしまうことがあります。

慣れない相続の手続きで、どのような手順が必要かなど分からないことも多くあるのではないかと思います。

「銀行で成年後見人が必要と言われたけど、結局どうしたらいいのか分からなかった」とご相談に来られる方もいらっしゃいます。

ご状況によっては、大きな回り道となってしまう場合もありますので、気になることがある場合は、専門家にご相談されることをお勧めいたします。

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